そうこうしているうちに、オーナーが怪我をしてしまった。料理をするのが難しくなり、私がキッチンを代わりに運営することになった。ある程度手伝っていたので、できないことはなかった。バイトの子と二人でなんとか回せた。

ただ、コスト面は変わらない。しかし、私が本業を削って、大幅に時間的な負担を負うことになった。怪我が回復するのを待っていたが、結局、回復することはなかった。

この時点で撤退する決断もあっただろうと思う。飲食店をやる上で、健康が最も重要な前提であることを、そのとき十分に認識できていなかった。

回復することなく、8年が経った。

なかなか撤退できなかったのは、いわゆるサンクコストというやつだろうか。ここまでやってきたからもったいない、という気持ち。わからなくもないが。

何度かやめるチャンスはあった。最初は、何年かして、オーナーが客が来ないからやめたいと泣きそうな声で電話してきた時。次は、最初に怪我をした時。その次は、コロナが終息した時。その後、バイトの子たちが卒業した時。

結局、最初にやめたいと言った時に止めなければよかったと思う。